障がい児施設での出来事2

しあわせのみつけっこ

寄稿者DATA
現役保育士つくしんぼ先生
つくしんぼ先生
私立保育所・障害児施設勤務
保育園4年間後、現在、障害児施設の保育士。
子ども達と小さな幸せの見つけっこをするのが大好き〜♪

“しあわせ”を見つけると、誰でも嬉しくなるものですよね。
幸せって、貰うものでなく、落ちているものでもなく、もちろん買えるものでもない。・・・けれど、素直で、純粋で、あったかいハートがあったら、たくさん見つかる!そんな、”しあわせ”のみつけっこが、とっても上手で、ちょっとハンディをもっている可愛い子ちゃん達と出会い、感じたことを綴ってみました。

秋の自然で遊んだよ散歩で見つけた秋の美!たくさん見つけたね。紙粘土、クルクルまるめて切り株にぺったん。
どんぐり ぎゅっ 枝をチクンと飾って小さな実は ふりかけみたい  
まつぼっくりは いちごみたい おっと、ボンドをつけるのを忘れないでよ。
やったぁ。出来上がり!ケーキみたいだね。
        
ボンドの感触、粘土に埋まる手ごたえ、木の実の手ざわり。
出来上がりの見栄えにこだわらないで、途中の過程を大事にしてあげたい。
自分の力でしたことが、自分の本当の力になるから。

植物

上手だね誰でも誉められるのは嬉しいはず。だけど、誉めた⇔誉められたの関係の行き違いの場面を時々目にします。
「上手ね」と言われても、頭を撫でられても、それらの意味が分からなかったり、感覚的に不快だったりして、誉められてる気にはならない。

それなのに大人ったら「誉めているのに嬉しい顔しないんだから」なんて。自分勝手も程ほどにしてよね・・。
誉めるって言葉の表現もたくさん、その他の表現もたくさん。
どうしたら誉められると嬉しい気持ちになるか自分だって経験しているはずなのに。
高い高い・グルグル・抱っこでギュ〜、静かに笑顔が好きな子もいますよね。
その子の好きなことって、分かっているようで分かっていない。 常に教えてもらう気持ちがないと気付けないのかも。

自由遊び 〜自分の好きなことを見つけよう〜自由って言われると、自由だけど、何をすればいいの?自由に好きなことをすると、これはダメって先生が言うし・・・。何が自由なの?
好ましくない事ばかりする困ったちゃん。そう見てしまう大人がいるけど、本当に困っているのは一人の可愛い子どもではないでしょうか?
トイレへふらりと出かける。入ってはいけない場所に入ってしまう。

困った困った、ダメよダメよ、と何度も禁止。注意の仕方を変えたって解決にはなりません。
困ったちゃんは、大人が何に困ったのか分からないから続けちゃう。禁止することよりも、他の面をサポートする方がよっぽど分かりやすい。
禁止される行為よりも、楽しい事・好きな事を見つければ、そんな事しなくなるよ。
そのお手伝いをしてくれるの大人の仕事なのではないのかしら?

〜おまけ J君のその後〜
 楽しいトイレブームは去りました。お絵かきボードや地図パズル。
好きな玩具を見つけて好きな遊びが増えてきました。
トイレに行っておしっこはするけど、終わったら走って遊び場へ。
確かにトイレは落ち着くけど、好きなことには勝てないね。

座りましょう病院の待合室。いつ自分の番が来るんだろう?頭は痛いし、痛い注射をされたら嫌だし・・・。そんな不安の経験はありませんか?逆に、映画館の待ち時間は何となくワクワクしますよね。

生活する中で、着席してほしいことはたくさんあります。「ここまで待ったら、何か楽しい事があるぞ!」座ってほしい時には、こんな経験が一番。少しずつ時間を延ばし、楽しみな事を増やしていきましょう。

次はどんなワクワクがあるかな?と思える子ども達。それと同時に私もそうでありたいなぁ。
座っている椅子の感覚だったり、姿勢の保持が筋力的に苦手だったりする子には、座布団や足マットを置くだけでも安定・安心出来るようです。(映画館のひざ掛け毛布サービスにも似てるかな?)

まねっこ まねっこ絵で見ると分かりやすい子が多いので、毎日の午前の活動を貼っておきます。数字が得意な子がいるので、番号をつけています。「今日は、○○するの?」「ん〜!(と指差す)」と、毎朝、この前に来て確かめている子を見ると、”分かろう”って一生懸命なんだなぁと感じます。

今日の活動はトイレ→赤いいすに座る→着替えをする→プール です。(こちらでは、個々に作られたスケジュールも同時に使っています)

 こんな形のスケジュールもあります。
一つずつの活動を書き、リングに綴ってめくっていく形式です。

ホットケーキを作ろうみんな大好きホットケーキ。
「たくさんおかわりして食べたいなぁ」そんな気持ちが伝わってきました。

そこでホットケーキ作りを提案すると、子ども達はやる気満々。
たまごとたまご、牛乳と牛乳。実物とカードを「おんなじ」にすると簡単かんたん!もうすぐ完成だね。
大人の手。かける所は”思い”次第?子ども達、意外と何でも出来るんです。

僕もしたいよ 〜ある日の出来事から〜はさみ、チョキ チョキ チョッキン。たくさんしたら、面白くなってきた。面白いから、したい・やりたい。
そんな子ども達がテーブルに集まってきた。

一人、二人、三人・・と増え、クラスの大半が集まってきた。
小さな肩を寄せ合う子ども達、友達の様子は見ていないようで、チラリチラリと観察。
隣の友達を見て、何を感じていたのでしょうか?「僕もしたい」そんな気持ちを引き出すのは集団のパワーなのかもしれません。

次の日、様々な素材の紙を入れたカゴを置いておくと、再び始まったチョキチョキタイム。
造形のりでダイナミックに貼り付けたら、ぞうさんに変身。ぞうさんのように、大きく おおきくなぁれ!!

そうの絵

みんなはどんな手?気屋さんが修理に来た。みんなの視線は工事のおじさんの手元に集中。
2〜3分の修理でしたが、真剣なまなざし。

電気屋さんの手・お店屋さんの手・運転手さんの手・調理員さんの手。
どれもこれも本物の「手」を見せてあげたい。

社会の一員として働く本物の手にたくさんふれてほしい。
そんな手を見て、感じて、あなた達はどんな手に成長するのでしょう?私達の手も磨かなきゃ・・・ね。

子どもの絵1子どもの絵2

子どもの絵3子どもの絵4

おやつタイム1 〜どっちがいい?〜お菓子がおやつの時は、2〜3種類用意。「今日はどれにする?」と声をかけると、
子ども達はそれぞれ思いおもいに、好きな方に手を伸ばしたり、
「これ(指差し)、お願い(手を合わせる)」と表現しています。
自分で選び、自分 で意思を伝えた事もプラスするのか、いつも和やかなおやつタイムです。
甘い物・しょっぱい物・噛みごたえのある物・・・。どれも食べるけど、大好きな物 は様々。
どれにしようかなぁ・・と真剣に考えている様子です。

時々、中身が見えないように包装されている物もあって、
選んで開いて見ると、 予想外でがっかり。そんな姿もあります。
こんな事をしながら、予想外の展開も経験し、その後「いらない」と伝えたり、
友達と視線を合わせて物々交換の交渉に入る子も出てきました(賢い!)。

美味しい時間を共有しながら、ゆったりと個々の意思を待ちたいなぁと思います。

おやつタイム2 〜H君のメッセージ〜鮮やかなピンク色のゼリー。ゆっくり味わって食べた後、突然席を立ち始めたH君。
どうしたんだろう・・・?と見つめる中、そのゼリーが包んであった袋を通園かばん に入れ始めました。
よっぽどお気に入りだったのね。お母さんに同じ物買って!って 言うのね。  

おしゃべりは苦手でも「伝えよう」とする気持ちはきっと通じる。
そんな気持ちにストップをかけないように、ゆっくり耳を傾けたいものです。

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著作・制作など
保育士資格保持者なかのゆうとのイラスト
なかのゆうと(保育士資格保持)
監修・原作・執筆・編集
著書に『先輩が教えてくれる! 新人保育士のきほん(翔泳社)』、『保育士になろう!(青弓社)』。元私立幼稚園教諭。現役保育士や児童福祉施設などに勤務する方を取材し、保育現場のリアルを発信します。
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