障がい児施設での出来事4

しあわせのみつけっこ

寄稿者DATA
現役保育士つくしんぼ先生
つくしんぼ先生
私立保育所・障害児施設勤務
保育園4年間後、現在、障害児施設の保育士。
子ども達と小さな幸せの見つけっこをするのが大好き〜♪

“しあわせ”を見つけると、誰でも嬉しくなるものですよね。
幸せって、貰うものでなく、落ちているものでもなく、もちろん買えるものでもない。・・・けれど、素直で、純粋で、あったかいハートがあったら、たくさん見つかる!そんな、”しあわせ”のみつけっこが、とっても上手で、ちょっとハンディをもっている可愛い子ちゃん達と出会い、感じたことを綴ってみました。

みんなのピアノ1 〜小さなダンサーと一緒に〜広い部屋の片隅のピアノ。たくさん走りまわった後は、いつも誰かが”音楽タイムにしようよ〜”と誘いにきます。”真っ黒の椅子は先生の。先生のお膝はわたしのよ!”
私の膝には可愛いお尻がのります。そして始まりは、一緒に連弾。その音につられて興味ある子が近づいてきました。子ども達にお馴染みの曲を弾くと、パチパチパチとリズムとってジャンプジャンプのYちゃん。まねっこして身体を上下に揺らしニッコリ微笑むAちゃん。やっと、あんよし始めたCちゃんも「あ〜」と手をゆらゆら。ちっちゃなダンサー達の姿に幸せを感じます。私の足元にはRちゃん。ピアノに身体中をべったりくっつけて、音の振動を味わい、アハハ! 「Rちゃんアハハだってぇ〜」のYちゃんの表情につられてみんなもアハハ〜と笑い出しました。アハハ〜!ジャンプ!アハハ!ジャンプ!

 ”楽しいね”は子ども達から出てくるもの。”楽しませてあげよう”は、大人の身勝手なのかもしれないね。私のできる事はなぁに?教えてね、一緒に遊ぼう!

みんなのピアノ2 〜走るの大好きYちゃんの気持ち〜パチパチと手をたたきながら走ったよ。 そしたらみんなも走ったよ。先生も一緒に走ったよ。
ぐるぐる ぐるぐる 走ったら ピアノの音も早くなる。
”何がはじまったの?”ってちょっと心配なTちゃんも、静かに差し出されたA先生の手を握って走ったよ。
私の大好きなかけっこ。みんなですると、もっと楽しいね。ヨーイドン!

ピアノ

みんなのピアノ3 〜走って 止まって ジャンプジャンプ〜突然、ピアノの音がドッシーン。走り回ってだいぶ息切れしていたOちゃんが、その音に気付いて寝転がった。 ゆったりとしたピアノの子守唄に、みんながねんね、ねんね。うさぎさんになってジャンプジャンプ。両足跳びが難しい子も心はジャンプしているのは分かる分かる!怖い音が聞こえてきたよ。H先生の「おいで〜」の声に、胸に抱きつく子ども達。ちょっとびっくりしちゃったね。
Y先生が突然、元気に歩き始めた。床の線の上を歩いている。「歩こう、歩こう」 Kちゃんも、R君も後ろから歩いている。OちゃんもH君も歩いている。普段は「僕が1番!」とケンカになる子ども達もそんなことお構い無し。後ろからそっと見守るK先生。
その手があるからやりたい気持ちに一歩踏み込めるI君。し始めると調子にのってバイバイと手を振り、余裕余裕。次々と壁の手前でゴールし、万歳のまねっこ。楽しいひととき。

 ピアノを弾きながら、みんなの様子を見ていた私。
このひとときは、大人同士の打ち合わせも、誰が「リーダー」で誰が「サブ」かも決めていない。目と目で合図して始めたわけでもない。それなのに、どんな発表会よりも、子ども達の嬉しさと成長があふれていたような気がする。もちろん、大人も。 
「保育に一生懸命なのは立派」。だけど、こんな幸せをずっとずっと持ち続けたいなぁ。みんなは、どう感じたかしら?

お絵かき 〜おいしいりんご〜りんご畑に、りんごがたくさん!散歩の時、道端のりんご屋さんから「可愛い子にどうぞ」って、真っ赤なりんごを貰ったよ。今年のりんごは蜜がいっぱい、美味しいね。

子どものお絵描き

子どものお絵描き

雪遊び今年は大雪。園の滑り台は、天辺しか見えていない。雪遊びはしたいけど、きっと体が埋まっちゃう。なかなか外へ行けない時は、大きな入れ物に雪を入れて暖かいお部屋で雪遊び。「冷た〜い」とTちゃん。棚からゴゾゴゾ、おもちゃのカップを取り出してきた。おままごとのストローも持ってきた。型押ししてストローを差して、小さな雪だるまの出来上がり。
 触っていると雪が溶けて水になった。カップの中はお風呂みたい。Tちゃんのお気に入りのぬいぐるみを入れて「あったかい??」。
あらら、ぬいぐるみちゃん、おもらししちゃったみたい。濡れちゃったね。

 雪遊び=外でするもの  こんな決め付けは誰の感覚?こんなこと、他にもあるのかも?(ちなみにTちゃん、この後、ぬいぐるみちゃんと同じになっちゃいました。 冷えたのかしら・・・苦笑)

こんな人 好きだなぁ「追いかけっこをたくさんしてくれる人」「抱っこをいっぱいしてくれる人」
「上手ねって誉めてくれる人」「面白いことを見せてくれる人」

・・・・でも本当は。
おしゃべりではなかなか表現できないけど、嫌なことがあったんだ・・・。こんな難しいこと出来ないよ・・・。
頑張るのは疲れたな・・・。ちょっとだけ甘えてみたいんだよ・・・。
泣いても、暴れても、じっと座っていられなくても、ありのままの自分を、ありのまましっかりと受け止めてくれる人。
そんな人を探してる。何となく分かるんだよね、直感で。

少し離れて子どもたちを見ていると、こんな声が聞こえてくる様な気がします。
そして、私ってどんな存在なんだろう??と考えこんだりしています。

ガオー ライオン黄色い絵の具で遊んだよ。ライオンに変身!僕たちもライオンみたいに大きく、強くなれるかなぁ?

 「強い子」ってどんな子?たくさん失敗してもいい!その失敗からたくさんのことを気付いて自分の気持ちを”豊か”にしていける子。
そんな子が”強いなぁ”と私は思っています。一見、遠回りのみちくさをしているように見える子こそ、大事にゆったり見守ってあげたいなぁ。

子どもの絵

子どもの絵

シャボン玉〜見つめ合って〜部屋の片隅で吹いたシャボン玉。このシャボン玉はどこからくるの?
とキョロキョロ辺りを見わたしていた子が近づいてきました。音楽のフレーズに合わせて出てくるシャボン玉。
きれいだね。次は大きく膨らませよう!

そっとそっと息を入れるとそっとそっと膨らんでいく。2人でシャボン玉を見つめ合う。
大きくなったシャボン玉がふわ〜っと飛びあがった。何気ない一瞬。
けど、気持ちの向け先が一緒だったその一瞬に、嬉しさがこみ上げてきます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
著作・制作など
保育士資格保持者なかのゆうとのイラスト
なかのゆうと(保育士資格保持)
監修・原作・執筆・編集
著書に『先輩が教えてくれる! 新人保育士のきほん(翔泳社)』、『保育士になろう!(青弓社)』。元私立幼稚園教諭。現役保育士や児童福祉施設などに勤務する方を取材し、保育現場のリアルを発信します。
ページのトップへ