発達心理学
(選択式10問)
問1 次の文は、保育における発達心理学の考え方である。不適切な記述を一つ選びなさい。
1 保育における発達心理学では、子どもが発達するだけではなく、そこに関わる保育者や家族も発達していくととらえる。
2 発達には、一時的にトラブルを起こしていても、長期的にみれば豊かな経験としてはたらくものがある。保育者はそのはたらきを心得て、保育に生かしていく必要がある。
3 子どもたちは、いろいろな経験をし、さまざまな発達の道筋を経てきているので、できるかぎり、同じ考え、同じ行動ができるように保育をしなければならない。
4 発達は年齢とともに多くの経験を積み重ねて成り立っていく。おおむね、年齢と相関して進んでいくものである。発達の道筋や、発達段階と称するものがそれである。
5 保育者をめざす学生は、これまでの発達を振り返り、また保育者になってからの職業人としての成長過程を見通すことが大切である。
問2 次の発達のメカニズムに関する記述において、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 家系研究法は、ある優れた特性、または、ある劣った特性の遺伝性を証明しようとしたものであるが、遺伝と環境の影響力が分離されない研究法である。
B ワトソン(Watoson,J.B.)は、乳児に対する恐怖の条件づけの実験を行い、遺伝説を主張した。
C シュテルン(Stern,W.)は、輻輳説を提唱し、遺伝も環境も発達に関係し、それらは相互に依存しつつ影響し合うと考えた。
D ゲゼル(Gesell,A.L.)は、一卵性双生児に階段上りの訓練を行い、環境は発達を促進させるが、基本的な態様と順序は成熟によって決まるとし成熟優位説を唱えた。
E 環境閾値説は、遺伝的可能性が顕在化するのに必要な環境要因の質や量は、それぞれの特性によって違いがあると主張している。
(組み合わせ)
問3 次の文のうち、1799年にフランスのアヴェロン県で保護された「アヴェロンの野性児」の教育について、医師イタールが掲げた教育目標として適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 彼がいま送っている生活をもっと快適なものにして、とりわけ、彼が抜け出したばかりの生活にもっと近づけることによって、彼を社会生活に結びつけること。
B 非常に強い電気刺激によって、神経の感受性を目覚めさせること。
C 彼に新しい欲求を生じさせ、周囲の存在との関係を増すようにさせて、彼の観念の範囲を拡大すること。
D どうしてもそうしないではいられないという必要性によって模倣訓練をさせ、彼を話し言葉の使用に導くこと。
E 話し言葉を1語覚えたら、パンを1切れ与えるというように、身体的欲求から教育課題が達成されるようにさせること。
(組み合わせ)
問4 次の文は新生児期の発達についての記述である。最も適切な記述を一つ選びなさい。
1 ポルトマン(Portmann,A.)が「生理的早産」と仮説を立てたように、人間の新生児は早産の状態にあり、あらゆる面において反応が乏しい。
2 話し言葉の源となる発声は、クーイングと呼ばれる不快なときに出す泣き叫び(叫喚発声)である。
3 新生児は、大人が舌を出したり、口をあけたりすると、同じような表情を示すことがある。この模倣行動は、意図的なものではなく、自動的に生じる行動と考えられている。
4 新生児のすべての運動行動は、モロー反射、把握反射といった原始反射と呼ばれる生得的な反射であることが知られている。
5 ある特定の者に対して興味を示したり、反応を示したりすることを選好という。新生児は選好行動として色の鮮やかなものをよく見る傾向がある。
問5 次の文は乳幼児の物の理解の発達についての記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。
1 満1歳くらいまでは、目の前のりんごが布で覆われて見えなくなると、なくなってしまったと思って手を伸ばさなくなる。
2 0歳半ば頃から、物は支えられていないと落下するということが分かっている。
3 1歳頃には、物体のさらさら、つるつるなど肌理(きめ)を区別する。
4 3歳頃には、同じ量の粘土でも丸めて形を変えると、重さや量が変わったと誤った判断をすることがある。
5 2歳頃には、物の移動が見えないときにも移動を頭の中で思い描いて探すようになる。
問6 次の文は、人との関わりの発達についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 1歳前後の乳児は特定の対象に対して行動しようとするとき、親しい者の示す表情、声色、しぐさなどから、自分の行動を決める傾向がある。これを社会的参照という。
B 他者が感じていることや考えていることは、自分のとは違うものだとわかることを、心の理論という。これは、児童期の後半に獲得される。
C 0歳後半には、共同注意ができるようになる。養育者の視線を追って、同じものを見ていることを了解する。
D 4歳を過ぎるころから「イヤ、イヤ」を連発するようになる。これは、自分の意識の高まりの表れであり第一反抗期という。
(組み合わせ)
問7 次の文のうち、子どもの遊びについて、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A ごっこ遊びができるようになるためには、象徴機能の発達が必要である。
B 出来事の順序についての知識(スクリプト)を獲得することで、筋や流れのある遊びができるようになる。
C 一定の目的をもって一緒に遊ぶ遊びを、パーテン(Parten,M.B.)は「連合遊び」と呼んだ。
D 遊びのルールを理解し、そのルールを作ったり変更するなどのスキルは3歳頃から顕著に発達する。
(組み合わせ)
問8 次の文は、成人期の発達に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。
1 「愛着の世代間伝達」として注目されているように、親の子どもとの関わり方には、親自身の親に対する愛着表象が影響する。
2 成人期は、期待される役割が多く、成人は葛藤状態におかれたり、解決困難な問題を抱えたりする。年齢と能力に応じた役割の変化を受容することが発達課題となる。
3 子どもが巣立つ時期には、親は子どもとの関係と夫婦の関係を再構築することが重要な課題となる。この課題を解決できない例として「燃え尽き症候群」がある。
4 レビンソン(Levinson,D.)の成人前期と中年期の発達段階によれば、安定した生活構造をつくる時期と、生活構造が変化する過渡期が交互に現れる。
5 人間には小さい子どもに共感し、育てようとする傾向があり、それは成人になってから急に形成されるわけではない。
問9 次の文は発達の基本的な「流れ」についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 発達の流れは、時間軸に沿って展開する個体と環境の相互作用の過程である。
B 発達の流れには個人による違いもあり、細かく見れば様々な道筋を通る。
C 発達段階は、その子どもの発達の程度を示すので、知能や人格などに共通した同一の程度をもつ。
D 発達とは常に前進していくものであり、どのような側面であれ、一度進んだら戻ることはない。
(組み合わせ)
問10 次の文は発達過程にみられる発達の主な特徴である。これらを、早く現れる発達の特徴の順に並べた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 子どもは、この時期には人見知りが激しくなるが、一方では、見慣れた人にはその身振りをまねて「ニギニギ」をしたり「ハイハイ」などをして積極的に関わりを持とうとする。この気持ちを大切に受け入れ応答することが情緒の安定にとって重要である。
B 子どもはこの時期、首がすわり、目の前の物をつかもうとしたり、手を口に持っていったりするなど手足の動きが活発になる。また、生理的な快、不快の表出は、感情を訴えるような泣き方をしたり、大人の顔を見つめ、笑いかけ、「アー」「ウー」などと声を出すなど次第に社会的、心理的な表出へと変化する。
C 子どもは、この時期、歩き始め、手を使い、言葉を話すようになる。つまむ、めくる、通す、はずす、なぐりがきをする、転がす、スプーンを使う、コップを持つなどの運動の種類が確実に豊かになっていく。こうした新しい行動の獲得によって、子どもは自分にもできるという気持ちを持ち、自信を獲得し、自発性を高めていく。
D 子どもは、心が人のみではなく、他の生き物、さらには、無生物にまでもあると思っている。これが子どもらしい空想力や想像力の展開にもつながる。また、恐れの対象は、大きな音、暗闇など物理的な現象だけでなく、オバケ、夢、一人残されることなど、想像による恐れが増してくる。
E これまでは、何かにつけ保育士に頼り、保育士との関係を中心に行動していた子どもも、一人の独立した存在として行動しようとし、自我がよりはっきりしてくる。この段階では、子ども自身は友達と遊んだつもりになっていても、実際にはまだ平行遊びが多い。しかし、この時期に仲間と一緒にいて、その行動を観察し模倣することの喜びを十分に味わうことは、社会性の発達を促し、ひいてはより豊かな人間理解へとつながっていく大切な基礎固めになる。
F この頃になると子どもは、ごっこ遊びなどには、手の込んだ一連の流れがあり、様々な異なる役割が分化しているものを好み、少々難しくても自分たちの満足のいくまでやろうとする。したがって、各々の発案や実際の過程の観察、様々なところからの知識を生かして、創意工夫を重ねて、遊びが発展していくこともある。
(組み合わせ)
1 A→B→C→D→F→E
2 A→B→D→C→E→F
3 B→A→C→D→F→E
4 B→A→C→E→D→F
5 B→C→A→D→E→F
精神保健
(選択式10問)
問1 次の文のうち、適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。
A 神経細胞(ニューロン)は、ニッスル小体を介して隣り合う神経細胞へ電気信号を送る。
B 脊髄には31対の脊髄神経が出入りする。
C 小脳は、左右に分かれる小脳半球と脳梁からなる。
D 中脳には、呼吸中枢、血液循環調節・体温調節中枢などの生命維持に特に直接関わる重要な中枢が位置する。
E 側頭葉には聴覚の中枢が、後頭葉には視覚の中枢がある。
(組み合わせ)
1 AB
2 AC
3 BC
4 BE
5 DE
問2 次の文のうち、国際疾病分類第10版(ICD-10)における多動性障害についての記述として適切なものの組み合わせを一つ選びなさい。
A 乳幼児期のしつけ不足が原因である場合が多い。
B 繰り返し叱ることで、徐々におとなしくなっていく。
C 就学前の子どもでは、診断は慎重にすべきである。
D 注意の障害と多動が基本的特徴である。
E 自閉症と診断される場合も多動性障害の診断を優先する。
(組み合わせ)
1 AB
2 AC
3 BD
4 CD
5 DE
問3 次の文のうち、国際疾病分類第10版(IDC-10)における反応性愛着障害についての記述として適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A ほとんどの場合、ひどく不適切な養育に関係して生じる。
B 正常な環境下で育て直すことによって症状は改善する。
C 言語発達が障害されることがある。
D 多くの例では仲間達との社会的相互交流が乏しい。
E 自閉症でみられるようなこだわり行動が特徴である。
(組み合わせ)
問4 次の文のうち、アスペルガー症候群についての記述として適切なものの組み合わせを一つ選びなさい。
A 広汎性発達障害に分類される。
B こだわりがないことで自閉症と区別される。
C 他者の思考や感情を直感的に推測することが苦手である。
D 興味のある事柄であれば非常に高度な知識を有する場合がある。
E 運動発達は全般に良好である場合が多い。
(組み合わせ)
1 ABC
2 ACD
3 BCD
4 BDE
5 CDE
問5 次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
5歳の男児。保育所では、保育士の声かけに応じることなく部屋の中を走り回っていることが多い。よくひとりでテレビのアニメ番組のセリフをしゃべっているが、他人から話しかけられても返事をしない。
【設問】
次の記述のうち、この子どもで最も疑われる精神医学的問題において、幼児期に多く見られる症状はどれか。適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 特定の事物への強い執着
B 突然の予定変更に対するパニック
C 被害妄想
D 抑うつ気分
E 想像的な遊びの欠如
(組み合わせ)
問6 次の記述のうち、パニック障害でよく見られる症状はどれか。適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 離人感
B 強直間代けいれん
C 動悸
D 窒息感
E 幻覚
(組み合わせ)
問7 次の睡眠障害についての記述のうち、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A ナルコレプシーの睡眠麻痺では、睡眠エピソードの開始または終了時に全身の筋硬直が起こる。
B ナルコレプシーの薬物治療には塩酸メチルフェニデートが一般的に用いられている。
C 不登校を呈する子どものなかには、概日リズム睡眠障害の睡眠相後退型を呈するものがある。
D 悪夢障害は、レム睡眠から緩徐に覚醒し、覚醒後の意識はもうろうとしている。
E 睡眠時遊行症では、翌朝にエピソードを想起できないことが多い。
(組み合わせ)
問8 次の文のうち、子どものうつ病についての記述として適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A イライラ感(精神運動性焦燥)を主症状のひとつととらえ直すと理解しやすい。
B 身体的な訴えが多い。
C 両親の評価も重要であり、年齢段階別の特徴的行動を具体的に聴取していく。
D 原因については、脳の感情中枢におけるドーパミン仮説が有力である。
E 大人と異なり、心理社会的要因のひとつとしての喪失体験は、症状形成に関与しない。
(組み合わせ)
問9 次の【事例』をよんで、【設問』に答えなさい。
【事例】
5歳の女児。保育園で製作の時間中に突然意識を失って倒れ、両側四肢を強くつっぱり、その後けいれんが起こった。1分ほどでけいれんが終わった後はボーッとした状態が数分間続き、徐々に意識が回復した。体温を測ったところ36.7度であった。1歳のときと2歳のときに1度ずつ、いずれも38度台の高熱を出した際に同様の症状が出現したことがあった。
【設問】
次の記述のうち、この子どもで最も疑われる精神医学的問題において、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 家族に連絡をとり、医療機関を受診することが望ましい。
B 明らかに熱性けいれんなので、病気ではない。
C 診断確定のためには脳波検査が有用である。
D 心理的なストレスが直接の誘因となることが最も多い。
E 学童期以降に再発することはきわめてまれである。
(組み合わせ)
問10 次の精神症状のうち、統合失調症と関係があるものを○、関係がないものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 思考化声
B 被害妄想
C 自閉
D 抑うつ
E 妄想知覚
(組み合わせ)