保育士の退職理由

保育士を辞める時、どんな理由で退職しているのか?
2019年には新たに60000人を超える保育士登録があり、年々保育士として活躍される方は増加傾向にあります。一方、何らかの理由により保育士を退職されていく方もいるわけですが、ここではどのような理由で退職するのかを統計から考察していきます。
下記は、『東京都保育士実態調査報告書(2018年/東京都福祉保健局) 』の調査内容の問と回答結果の数値を独自にグラフ化したものになります。
問 あなたが保育士として就業された保育所等を退職した理由としてあてはまるものをお答えください。(○はいくつでも)
1 結婚 6 給料が安い 11 職業適性に対する不安 2 妊娠・出産 7 仕事量が多い 12 他業種への興味 3 子育て・家事 8 労働時間が長い 13 家族の事情(介護等) 4 健康上の理由(体力含む) 9 職場の人間関係 14 配偶者の意向 5 転居 10 保護者対応等の心労 15 その他(具体的に)
【グラフ】保育士の退職した理由と退職意向理由
調査結果を見ると、退職を考えている方の6割の方が「給料が安い(68.7%)」「仕事量が多い(61.9%)」を退職の理由として上げており、前回の調査(2013年)でも最も多かった「給料が安い(65.1%)」「仕事量が多い(52.2%)」の順位に変わりはなく、そのように思っている人の割合が増えている傾向にあります。
昨今では、働き方改革の実施や保育士確保の動きで改善傾向にはみられるものの、他業種に比べ、給料が安く命を預かる仕事のためなかなか改善に至らないのが現状です。
ただ、実際に辞めた原因は、4割弱の方が職場の人間関係を退職理由に上げており、「賃金や仕事量」に不満があり、人間関係などの縺れから実際に退職をするといった流れが多くみれるようです。
また、退職を考えている方の理由はどの項目でも前回と比較して上昇傾向がみられ、ここにあるそれぞれの問題を一つずつ改善していかない限りは保育士不足の解決はなかなかみえてこないでしょう。
【データ】保育士の退職した理由と退職意向理由の雇用形態別詳細
以下は、それぞれの項目に関して雇用形態別に数値を出した詳細になります。
こちらの表をみて分かる通り「仕事量や労働時間」「給料が安い」という理由が上位を独占しており、『給料の割には精神的にも肉体的にも大変で人間関係によっても状況がとても左右される仕事』ということを表しています。
ただし、『公設・公営』の保育所に限るとそれぞれの割合がぐっと低くなっており、「仕事量が多い」「労働時間が長い」「健康上の理由(体力を含む)」のそれぞれの数値も突出して低く給料への不満も少ないことから待遇の良さを裏付けていました。
保育士は妊娠・出産を機に退職しても復職が容易
以前に比べ「結婚」「妊娠・出産」を機に退職は少なくなったものの、他業種に比べると比較的高い水準になります。これは保育業界ならではの特徴的な数値で、保育業界は女性が中心となって働いていることと妊娠・出産が今後の保育士としてのスキルにつながることからこの数値が高くなっていると考察できます。
別の業界では「妊娠・出産」はブランクされてしまうことが多いですが、保育士業界では、子育てをしたことがある先生はやはり説得力が違います。お母さん同士の会話なども実際に自分が出産して育てているのですから、言葉にもグッと重みが出てくるわけですね。もちろん若い先生は若い先生なりに違う魅力を持っていますが、子育てへの共感など「妊娠・出産」したことがスキルとなる数少ない仕事の一つです。それ故に「妊娠・出産」が強みになる職業は保育士資格の魅力とも言えるでしょう。
期間の決まった働き方をする保育士も増加
グラフにある「雇用契約の終了」の項目は具体的には「契約期限・派遣期限・臨時職員期間満了による退職」が主になります。保育所では、保育士の設置基準というものが設けられているため、常に決められた一定の保育士がいないと運営が認められていません。そのため産休などで常勤の保育士がいなくなる場合、有期契約の保育士が募集されることが多く、その結果一定数の退職者がでることになります。
このような期間を限定した保育士は、給料が高い傾向にあるため派遣に絞って職を探す人もいます。自分に合わない保育園でも一定期間と思えば続けられますし、自分に合うことがわかってから正式に保育士として採用してもらうこともできるので、選択肢としては非常に有効です。
保育士の実際の退職理由をみていかがでしたでしょうか?退職理由を事前に知っておくことで、自分の保育士のキャリアをどうしていくかの参考になるでしょう。また、これから保育士を目指す方にとっては、今後どういった保育施設を志望していくのか?保育士の退職理由も参考にしておくときっと役に立つことと思います。

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