保育士の給料

なかのゆうと
監修なかのゆうと(保育士資格保有/著書「新人保育士のきほん」他)

保育士処遇改善の効果あり、年々平均賃金が増加している

【グラフ】保育士の平均賃金の推移

保育士の平均賃金は、他業種と比較しても増加傾向が続いています。総務省統計局(e-Stat)の賃金構造基本統計調査によると、2013年には310万円だった保育士の平均年収が、2023年には396万円と、86万円(約27%)の増加が見られました。国や自治体が進める保育士の処遇改善策が、このように数字として良い結果をもたらしています。

また、所定内労働時間は2013年以降170時間前後で推移しており、労働時間に大きな変化はない中での賃金は上昇は、保育士の処遇改善の結果が出ていると言えるでしょう。

しかし、今後の賃金上昇については、待機児童問題が多くの自治体で解消されつつあるため、経済全体の動向に左右される可能性が高いと考えられます。今後は小幅な上昇は見込まれるものの、現在のような急激な賃上げは厳しいかもしれません。

保育士の給料が低いイメージは本当なのか?

保育士の平均給与について、もう少し詳しく見ていきましょう。 保育士の給料については「低い」というイメージを持っている方が多いかもしれません。しかし、実際にはどうなのでしょうか?ここでは、各調査データを基に検証していきます。 まず、厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査のデータを確認します。

例えば、2023年の調査結果では次のようなデータが報告されています。

2023年 保育士及び幼稚園教諭の平均賃金等の実態について
(2023年 賃金構造基本統計調査より)

  • 平均年齢:38.0歳
  • 勤続年数:8.5年
  • 労働時間:170時間/月
  • 超過労働:2時間/月
  • 給与月額:271,400円
  • 年間賞与:712,200円
  • 平均年収:3,969,000円

○調査対象事業所:10人以上の常用労働者を雇用する事業所(民間)が対象。

ここで注意しておきたいのは 賃金構造基本統計調査の結果が「全国平均」という点です。一般的に都市部では賃金が高くなりますが、地方では低くなる傾向があります。そのため、ご自身のお住まいの地域から賃金構造基本統計調査の結果の平均値だけで賃金が標準よりどのくらい違いがあるのか判断するのではなく、地域ごとの賃金差を考慮することが重要です。そこで、以下に令和四年の賃金構造基本統計調査の結果をもとに都道府県別のデータを作成しました。

【表】都道府県別の保育士の年収

都道府県 年収 月収 月の手取り
北海道 386万円 25.6万円 20.4万円
青森 426万円 26.7万円 21.3万円
岩手 335万円 24万円 19.2万円
宮城335万円23.8万円19万円
秋田314万円23.3万円18.6万円
山形283万円20.1万円16万円
福島345万円23.4万円18.7万円
茨城373万円26万円20.8万円
栃木382万円25.7万円20.5万円
群馬374万円25.1万円20万円
埼玉382万円26.2万円20.9万円
千葉387万円26.9万円21.5万円
東京450万円30.2万円24.1万円
神奈川438万円30.7万円24.5万円
新潟370万円22.9万円18.3万円
富山388万円25.7万円20.5万円
石川430万円26.6万円21.2万円
福井376万円25万円20万円
山梨372万円24.6万円19.6万円
長野314万円21.7万円17.3万円
岐阜376万円25.6万円20.4万円
静岡372万円25.5万円20.4万円
愛知368万円25.4万円20.3万円
三重339万円23.7万円18.9万円
滋賀349万円23.8万円19万円
京都444万円29.5万円23.6万円
大阪423万円29.1万円23.2万円
兵庫351万円24.8万円19.8万円
奈良362万円25.7万円20.5万円
和歌山392万円23.8万円19万円
鳥取368万円25.3万円20.2万円
島根349万円22.6万円18万円
岡山392万円25.5万円20.4万円
広島333万円22.2万円17.7万円
山口383万円25万円20万円
徳島366万円23.8万円19万円
香川406万円25.5万円20.4万円
愛媛357万円24.1万円19.2万円
高知358万円24万円19.2万円
福岡357万円24.7万円19.7万円
佐賀334万円23万円18.4万円
長崎320万円22.9万円18.3万円
熊本367万円24.1万円19.2万円
大分363万円22.5万円18万円
宮崎370万円24.3万円19.4万円
鹿児島406万円26.5万円21.2万円
沖縄308万円22.8万円18.2万円

保育士の年齢層は20〜30代が中心

また、保育士の平均年収は、全体で計算されているため年齢や経験を考慮する必要があります。特に保育士という職業は、20代〜30代の若い層が6割以上を占めている職場です(下グラフ参照)。そのため、他の職種の平均賃金と単純に比較することは注意が必要です。

実際、1〜5年程度の勤務年数においては、他業種と年収に大きな違いは見られませんが、年数が経つにつれ他業種との年収の開きが大きくなる傾向がみられます。これは保育士という職業には役職の数が少なく、福祉のカテゴリに属する業種であることが主な原因となります。

【グラフ】現役保育士の年齢調査

公務員並主任、一方新人とほとんど差がない主任

他に保育士の給与についての特徴ですが、経験を重ねていくことで、主任などの園を取りまとめられる存在になり、給料面も反映して働く方がいる一方、仕事の責任は重くなるが給料はほとんど変化が見られない方もいるといった両極端な状態が存在しているのが現状です。

通常は主任ともなると園にとっては欠かせない人材となり、給料もそれに見合った受け取るのが普通ですが、保育施設によっては、給料は新人の保育士を大きな違いがない保育園もあります。そういった保育園はどう見極めたらよいのか?やはり好きな仕事でも給料がいつまでたっても変化がなければメンタル的にも意欲は半減してしまうと思います。そこでどういった特徴があるか調査してみました。

給料の上がらない施設の特徴は?

調べてみた結果、次のような特徴が見られました。
(対象は同窓生、保育研修で知り合った方々、コミュニティサイト等)

・小規模な保育施設
・『結婚したら退職』といった暗黙のルールのようなものがある園

現時点では、以上のような施設に傾向があるようです。
小規模な保育施設では、園長の力が大きく、園長の存在だけで園が回ってるような施設だったり、サービスや施設が充実してる大規模の保育施設に園児が流れてしまい、経営するのがやっとといった施設に多く見られる様です。
『結婚したら退職』のような風潮のある園は、理由は異なるにしろ、若い人材を雇用することで人件費を低く抑えて経営している園です。

仕事は勤務年数が長くなるにつれ居心地もよくなるものですが、せっかく長く勤めるのではあればやはり正当に評価していただきたいものです。同じ時期に資格をとった友人より、「責任のある主任で勤務時間も多いのに給料は下。」といったことにならないようにぜひ、職場は探しは慎重に焦らず行っていただければと思います。

では、給料の上がる施設の特徴は?

先程は給料の上がらない保育園の特徴を挙げさせていただきました。では、給料面で、しっかりしている可能性が高い保育園はどのような特徴があるか?
(※ここでは公立保育園は除きます。)

一番のおすすめは、『公立保育園から民営化をされた保育園』です。

近年、公立保育園の民営化が加速しているのはご存知でしょうか。(よく知らない方は当サイト『公立保育園の民営化』を確認してみて下さい。)

民営化されると、私立保育園が元公立保育園を運営することになるのですが、その私立保育園は行政側から選定されて運営を委託されます。保育園ならどこでもいいというわけではなく、市町村ごとに基準が設けられています。決して、入札や抽選で運営の権利を取得できるわけではないのです。

一例として、箕面市の民営化について見てみましょう。
箕面市立保育所の民営化について』の一文には以下のように記載されています。

民間法人の選定方法など

運営主体となる民間法人(社会福祉法人などの公益法人)は公募し、専門家などで構成する 法人選定委員会を設置して客観的・専門的観点から選定します。

法人の選定にあたっては、法人または法人を構成する職員の保育所運営経験をはじめ、児童福祉に対する考え方や保育計画及び長期的かつ安定的に運営ができることといった総合的な観点から審査を行います。

一文には『長期的かつ安定的』とあり、財政的に盤石でないといけないことがわかります。財政的に盤石ということは、保育業界全体から見てみると、給料面でもしっかりとしている園の割合が高いといえるのです。

私の周りにも何人か民営化された園に勤めている友人・知人がいますが給料面で安定している方が多いですし、離職率も低いです。

もし今後、就職先を探す機会があれば、『民営化された公立保育園』を就職先の一つの基準として参考してみると良いかもしれません。

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著作・制作など
なかのゆうとのイラスト
なかのゆうと(保育士資格保持)
監修・原作・執筆・編集
著書に『先輩が教えてくれる! 新人保育士のきほん(翔泳社)』、『保育士になろう!(青弓社)』。元私立幼稚園教諭。現役保育士や児童福祉施設などに勤務する方を取材し、保育現場のリアルを発信します。
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