保育園行事は誰のため?
保育園行事は誰のため?
こうして文書を書いている今でも、近くの公園から保育園の運動会練習の様子が聞こえてきます。「今年もまた子ども達に大変な季節がやってきたか」と思っていると、行進曲に混じって保育士さんのはりきった声が聞こえてきます。「はーいそこでまるをつくるんだよー!」「今度は女の子の方が上手だよー!」上手に褒めながらも練習は続きます。時々「○○ちゃん!ちがうでしょ!」「となりを見てごらん!」などと名指しでマイクをとおして聞こえてきます。
本来、保育所、保育園の運動会とは、子ども達のすこやかな発達を保護者とともに喜び合う行事であるはずなのに、担任が集団生活の成果を発表するかのようなプログラムに付き合わされる子ども達も大変です。ただでさえ他の子ども達と比べたがる傾向にある保護者に対し、行事を通じて保育者としてもっと他に提案すべきことがあると思うのですが・・・
最後までやり遂げる充実感を味わうことは、それはそれで意義のあることですが、そのような園や保育士さんにかぎって、普段子どもが自ら集中していることを気づかずに中断させているように思えるのは考えすぎでしょうか。どうも自分で設定したカリキュラムしか見えてないのかも知れません。
さて、連日の練習も見事全員そろってやり遂げ、晴れて当日のプログラムを大成功させた子ども達。それを見て担任の保育士さんは大変感激するでしょう。目頭が熱くなるかも知れません。しかし、よくよく考えてみれば、それは子ども達にというより、それまで一生懸命プライベートな時間を割いてまで、出し物を企画し練習をさせてきた自分の努力にだったりします。そしてこの半年間における担任としての評価と面目を保てたことにほっと胸を撫で下ろすことでしょう。でも、保育士さんはまだ気が付かないかも知れません。あくまで子ども達のためだと信じて、また明日からの保育に思い込みの情熱を傾けていくのでしょうか。
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