幼保一元化とは

幼保一元化とは

幼保一元化とは、幼稚園と保育園の一元化を図ろうとする政策のことです。

育児サービスの多様化に伴って生じている幼稚園と少子化で定員オーバーの保育所において、両者の問題を解決するべく、幼稚園と保育園を一元化しようとしています。

幼稚園と保育所は元来別物であり、幼稚園は幼稚園教諭、保育所は保育士職員の資格が必要です。管轄の役所も幼稚園の管轄は文部科学省、保育所の管轄は厚生労働省と運営方針が異なります。

(1) 必要性

幼保一元化の必要性は、次の点に整理できる。
  • これまでの幼稚園、保育園に幼保一元化施設を加えることにより、保護者の就労形態にかかわらず、子どもが保育・教育の機会を等しく得ることができるよう、保護者の選択肢の拡大が図れる。
  • 年齢、生活環境等が異なる子どもや、複数の保育者と共に生活することが、より望ましい発達を促す効果が期待できる。
  • 保育園の待機児対策としての効果がある。

※参考文献 文京区幼保一元化検討委員会第1次答申

 

幼稚園と保育所の運営の見直し

近年進行している構造改革の一環として、幼稚園と保育所の運営の非効率さを是正する必要性が指摘されてきました。

中でも、一番のメリットは経済的効率です。公立の幼稚園と保育園でも統廃合することで大幅に人件費を抑制したいという自治体が多くあります。

幼稚園教員認定試験という文部科学省の実施する教員資格認定試験も2005年より開始されましたが、当初の目標の合格率を大幅に下回っているのが現状であります。これは一般教養試験が非常に難易度が高く、合格点を得る受験生がほとんどいないことも原因の一つとなっています。

また、幼保一元化には、幼稚園と保育所の施設や運営を一元化することで財政的に効率的な経営を行おうとする意図もあります。江東区などを代表する都市部での待機児童の増加なども懸念され、定員オーバーとなっている保育所が多い中、定員割れを起こしている幼稚園にそうした待機児童を収容してしようという動きもあります。

保育所は年々増加傾向だが、幼稚園は減少し続けている

(2) 基本的な考え方

幼保一元化は、子どもの視点に立ち検討を進める必要がある。それを基本としたうえで、幼保一元化を検討するにあたっての基本的な考え方は次のとおりである。
  • 文京区における幼児教育の歴史や保育のレベル、地域性などに対応した文京区にふさわしい幼保一元化を検討すべきである。年齢、生活環境等が異なる子どもや、複数の保育者と共に生活することが、より望ましい発達を促す効果が期待できる。
  • 保育園・幼稚園双方のよさが生かされた施設となる工夫が求められる。
  • 各年齢の発達段階に応じた教育・保育については、子どもにとってより良い生活が保障されるよう配慮することが望まれる。
  • 就学前教育・保育と小学校教育との連携を推進し、学びの連続性を確保する観点が重要である。
  • 子どもとともに親が育つ環境の整備が必要である。
  • 幼保一元化施設が、子育てに関する地域のネットワークづくりに寄与する機能を果たすことが望まれる。
  • 国において検討している「総合施設」の動向を踏まえ検討する必要がある。

※参考文献 文京区幼保一元化検討委員会第1次答申

 

幼保一元化の実現例

幼保一元化はなかなか進んでいたないのが現状ですが、全国でもいくつかの実現例があります。群馬県吾妻郡六合村は幼保一元化を実現しました。しかし、六合村は超過疎地域であり、これは子どもの数の減少に伴う措置であり、本来の幼保一元化の目的とは少々異なるものです。

2004年に、国は来年度30ヶ所で幼保綜合施設を設けました。群馬県六合村のようにでは幼稚園と保育所の一体化施設「子ども園」を開園し、午前中は幼稚園、午後は保育所として活動している施設は増加していくはずです。今、親であることはとても大変な時代となっています。幼稚園や保育所はその親の代わりをしなければならなくなっています。

将来の幼保一元化と問題点

幼稚園は学校教育法にもとづく教育施設で、一日四時間、三歳児以上を教える、預かり保育という位置づけもあります。
一方、保育所は親の就労などで保育に欠けるゼロ歳から就学前までの子どもを受け入れる、児童福祉法にもとづく児童福祉施設となっています。
 いま、五歳児の96%が幼稚園か保育所に通っていて、就学前教育としてほぼ全入に近い状況です。そのため、私もそうですが、幼稚園教諭免許と保育士資格の両方を取得する人が増えています。
 小さいときから豊かな人間関係や体を思いきり動かす体験をさせたいという思いもあり、どの子にもそれが保障できるように、保育・教育内容の接近・充実をはかることは必要です。

幼保一元化のメリットと今後

また、幼保一元化は政府の財源縮小の役割も担っています。財源縮小の金額は四兆円ですので、保育と教育の「総合施設の設置」、つまり一体の施設にすれば保育園ではないから、今までのような補助金を出す義務がなくなります。
保育への国の財政支出が削られるということで、職員配置や設備の基準が維持できるかどうか、保育料の値上げにつながらないか、保育予算に地域ごとの格差が生まれないか懸念されています。
 そして、特に問題なのは幼稚園と保育所がいっしょになった場合、実際の子どもたちにふさわしい保育・教育の内容や環境をどう保障していくかという論議がされずに、「職員の配置基準を幼稚園と同じにする」「保育所に設置が義務づけられている給食の調理室を廃止する」などの、基準が低いほうに揃えられ、予算削減をメインで進められていることです。
これでは安心して子どもを預けられる環境をつくるにはまだまだ時間がかかるように思われます。
 幼保一元化はこれからの多様化する保育ニーズに応えるためにますます必要となってくるだろう政策ですが、幼保一元化を確立していく為にはまだまだ時間がかかると思われます。

今後の方向性

幼保一元化は、保護者の子育ての選択肢を拡大すること、発達年齢に応じた一貫した方針に基づく教育・保育が可能となること、異年齢児が一緒に過ごす教育効果が得られることなど、子ども、保護者双方にとって望ましい効果が期待できることから、幼稚園、保育園とは異なる新たな選択肢として導入の方向で検討すべきと考える。その際、検討にあたって留意すべき事項で挙げたように、解決すべき課題もあるため、導入にあたっては公設のモデル園として位置づけ、課題やニーズの検証を行っていくことが望ましい。

なお、就学前の教育・保育と小学校との連携を図ることは、すべての子どもの育ちにとって重要な課題である。幼保一元化施設の検討に際しては、就学前の様々な不安への相談体制の充実も含め、この視点を生かした施設運営を検討すべきと考える。

また、平成16 年度に、教育委員会において、幼小中一貫教育研究モデル校により、幼・小・中の連携の研究を進めているところであるが、幼保一元化施設での成果とあわせて、幼稚園・保育園と小学校との連携を推進していくことが望まれる。なお、私立幼稚園・保育園においても、小学校との連携の推進が図られるような配慮が望まれる。


※参考文献 文京区幼保一元化検討委員会第1次答申

 

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