保育園での遊びについて

保育園での遊びについて

子ども達は、自分では、母や父を選ぶこともせず、保育者、養育者を選ぶこともしないで、私たちの世界に生まれてきてくれました。縁が有って私と出会ってくれて、ありがとう!
始めは、どの子どもも自分のお仕事、「一生懸命に生きること」に専念しています。怠けたり、サボったりしている子は誰一人いないんですよね。一生懸命に生きるということ=遊ぶ に夢中なんです。こども達にとって、「遊び」は大切なお仕事です。くちびるに触れたものをなめたり、吸ったりするのも、欠くことのできないお仕事なのです。感覚というものを研ぎ澄ませているのだし、最近では吸う、なめるということが視覚を発達させるということも言われていますよね。

「遊び」をステップアップしていくことによって、子ども達はちゃぁんと発達の順序をたどっているんです。そっと観察してみていると、ひとつの動きをクリアできたら、きちんと次の動作にトライしています。そして、いろいろな遊び、動きを通して、身体の感覚や機能に力をつけていっているのですね。
もし、まわりの大人が、赤ちゃんを、子ども達を、大事に大事に思うがゆえに、「何もさせないよう」にして、「やろうとすることをことごとく代わりにやってあげる」ことをしたら・・・・「精一杯先回りして、手をかけてあげる」それを愛情だと信じて、怠らなかったら…子ども達は、身体の発達の順番に育っていく機会を取り上げられていくことになるのですね。

例えば、這い這いをすることができるようになった赤ちゃんはお母さんの化粧品入れを良くイタヅラしますね。お化粧のビンを開けるんです。とても見事にビンのふたを取ってしまうのです。手の届くところに化粧品が有ればたいていの子がふたを回してあけてしまいます。赤ちゃんは生まれた時は手を握っているでしょう?手の指を開くというのは一つ一つ指が分かれていくということです。始めは5本でひとつの指。そしてふたを開けるのも、指に力をいれてあけているのではなくて、握っている「5本でひとつの指」が、手首を動かすうちにつかんでいたビンのふたが開いてしまうのです。握るのにちょうど良い大きさがビンのふただったのです。
まさに自分のトレーニングにぴったりの道具を見つけ出したところだったのです。その姿を見つけて、お母さんは化粧品を高いところに上げてしまいました・・・大事な大事なお仕事の道具、おもちゃが取り上げられてしまったのです。
このときの赤ちゃんは、お仕事をしていたのですね。
「握ること」「手首をひねること」そして「両手を供応させること」という大切なトレーニングを目的とした任務を果たす機会を見つけ、努力を重ねようとしていたのでした。
このサーキットをこなした後は、おそらく「引っ張る」「突っ込む」のサーキットに進んでいったのでしょうけど、残念ながらこの子はそこでは次のステージへは進めませんでした。
しかし、また何か同じような指や手首の動きで自分をパワーアップできるものをセンサーでサーチしていきます。
できるだけ周りの人に気付かれ無いように、取り上げられないようにと願いながらね!

子ども達は、生まれてきてから、眠っているとき以外は、こうして大人の目からうまく逃れる努力をしながら、日夜、わが身を鍛えることに惜しみなく努力を続けているのです。周りの大人]が気付いてあげない努力をするか、代わりにトレーニングできるものを用意してあげることも、子どもの本当のお仕事を成功させてあげるお手伝いなのです。「大人が眉をひそめるような子ども達のイタヅラ!」これにはすべて理由があったのです。

さて、子ども達は次にはどんなイタヅラを始めてくれるのでしょうか?
私たち、子どもと関わっていく者達は、その子ども達の「行動の素になるものを解明」する歓びと、「見守る」忍耐、そしてまだ未熟な故にトレーニングの対象としては適切でないものを選んでいる時だけを「取り除いてあげる」機敏さを使命としていかなくてはならないと思います。そして、複数で関わる時には、「みんなの対応が適切かどうか」「独りよがりになっていないか」を回りと常に調整し合って、話し合ったり、確認しあったりして、「同じ環境で子ども達が安心してゲームのステージアップができる」ように、努力を惜しまない事が大切だと思います。

本来私たちも遊びたい!…遊ぶということは自分を無理なく前に進ませることなのですから、ストレスを伴いながらの遊びは有りませんよね。みんなで楽しい日々を見つけていきましょうね。子ども達の日々の動きはゲームそのものですよね。

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著作・制作など
保育士資格保持者なかのゆうとのイラスト
なかのゆうと(保育士資格保持)
監修・原作・執筆・編集
著書に『先輩が教えてくれる! 新人保育士のきほん(翔泳社)』、『保育士になろう!(青弓社)』。元私立幼稚園教諭。現役保育士や児童福祉施設などに勤務する方を取材し、保育現場のリアルを発信します。
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