保育園での出来事3

バッチのお返事

寄稿者DATA
現役保育士スプリ先生
スプリ先生
保育士を経て、現在では園長に就任
園長に就任し、めっきり子どもと遊びこむ時間がなくなってしまい、本音は寂しいのですが、これも役割分担だと自分に言い聞かせ頑張ってます。

子ども達にお手紙をもらうと、僕は手作りのバッチをあげることにしています。
もう8年ほど前のことですが、子どもにお手紙をもらったとき、お返事に添えて厚紙で作ったバッチを上げたのが始まりで、今では毎週の恒例の行事みたいになってます(笑)

始めの頃は、手紙をもらった子どもの分はその日のうちに一つずつバッチを作り、あくる日には渡していました。人気(バッチの)が人気を呼び、毎日30以上のお手紙をもらうようになって、園外で研修とかあった日は帰宅後夜中に布団の中でつくってたこともあります。でも次の日に子ども達のうれしそうな顔を見ると良かったなと思いました。はじめの頃は“キャラクターは絶対保育園にはそぐわない・・”等となぜか変な思い込みがあり、自己流の飛行機やロケット、お花やキャンディーなどをデフォルメしたデザインのものでしたので、それを一つずつ作るのは正直言って大変でした。

それも1年くらいはなんとか続けていましたが、やはりというかとうとう疲れ果ててしまい、思い切ってキャラクターを取り入れ(ポケモンについての僕の考え方は前項参照↑)、お返事を渡す回数も少しずつ間隔を置くようになり、今では毎週月曜日に渡すことで何とか落ち着いています。さすがにだんだんパワーが無くなってきましたね(^-^;

お返事としてバッチをあげることについてちょっと心配してることがありました。果たして「お手紙は気持ちを伝えるという目的のはずなのに、バッチ欲しさで手紙を出すことは良くないのでは・・」という意見がやはり職員からもでました。
う~ん、でもやっぱり僕はそうは思いません。結果としてバッチ目的でもいいと思うんです。自分のバッチが欲しいという気持ちを紙と鉛筆を使って相手に渡すという行為により、目的であったバッチを手に入れることは、気持ちを形に出来る方法のひとつとして大いに応援するべきでしょうし、物を集めて楽しんだり豊かな気持ちになるという人間しか感じることのないであろう喜びは肯定的に認めるべきだと思います。

大人の感覚では“手紙に誠意が見られない”ということでしょうが、まずは手紙を書くという意欲を大切にする時期だと思うし、始めから大人の描いた模範的な展開を望むのは、とても一方的ではないのかな・・

頑張って絵を描けばそれなりの人気の高いバッチがもらえる。これは大切な経験だと思います。苦労して手に入れた人気のバッチを誇らしげにスモックにつけるも良し、集めたバッチを服の裏側に並べるもよし、気に入ったバッチを友達と交換するもよし。僕のバッチはそういう感覚で渡しているので、せっかくもらったバッチを人と交換しちゃいけないよ、なんて言いません。

まずはバッチがほしくなった子は手紙を出すという行動を起こさなければなりません。原則として自分で書いたものを出さなければもらえません。それは大人に強制されることでもなく、純粋に自分から紙を手に入れ色鉛筆を使って自慢の絵や伝えたい言葉を描き、もらう人と出す人をそれぞれ書くという、子どもにとっては頭と労力を使う大変な行為なのです。
かたや黙っていても、全員が平等に同じものを与えられることが常識となっている保育現場で、職員も戸惑いを持ったであろうバッチのお返事ですが、今後も改めてみんなと話し合っていこうと思っています。
そして楽しみにしている子どもがいる以上、これからも続けていきたいなあ。覚えたての鏡文字で一生懸命書いてきます。それに卒園した小学生や違う園でも兄弟を通じてお手紙をくれる子もいて、こちらも励みになってます。ワクワクしながら手紙を出す・・そんな気持ちを頑張って応援していきたいと思っています。

たのまな
保育士バンク
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著作・制作など
現役保育士つくしんぼ先生
なかのゆうと
監修・原作・執筆・編集
著書に『先輩が教えてくれる! 新人保育士のきほん(翔泳社)』、『保育士になろう!(青弓社)』。元私立幼稚園教諭。現役保育士や児童福祉施設などに勤務する方を取材し、保育現場のリアルを発信します。
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